こんにちは。山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」です。
指しゃぶりや口呼吸、舌で歯を押すといったお子さまによくみられる口周りの癖は、歯並びに大きな影響を与えます。
元々は問題がない歯並びの場合でも、そうした癖により、出っ歯になったり、きれいに歯が並ばなかったりすることもあります。矯正治療を受けても、口周りの癖が改善されないと、後戻りを起こすこともあるでしょう。
MFTトレーニング(口腔筋機能療法)は、歯並びに悪影響を及ぼす口周りの癖を改善するための訓練です。では、MFTトレーニングではどのようなことを、どのように行うのでしょうか。
今回は、MFTトレーニングの具体的な内容や効果、実際のやり方、注意点などについて解説します。お子さまの口周りの癖を改善したいとお考えの保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
MFTトレーニング(口腔筋機能療法)とは
MFTトレーニング(口腔筋機能療法)とは、Oral Myofunctional Therapyの略称で、舌を含めた口周りの筋肉にアプローチするトレーニングのことです。歯並びに影響を及ぼす悪習慣を改善します。
通常の矯正治療のように、歯に装置を装着することはありません。歯科医院で指導する矯正治療の一環です。
口周りの癖と聞くと、子どものみというイメージが強いかもしれませんが、子どもほどの効果は期待できないものの、大人に対してMFTトレーニングの指導を行うこともあります。
矯正装置を用いて歯列矯正をしても、舌癖が改善されていないと後戻りを起こすことがあるため、MFTトレーニングを併用することは有効です。また、MFTトレーニングによって、口周りの筋肉のバランスが整うので、口元のしわやたるみが改善されるケースもあります。
成長段階にある子どもの場合は、MFTトレーニングを行うことによって矯正装置を用いた治療のような効果を期待できることもあります。場合によっては、MFTトレーニングだけで、矯正装置を用いた治療が必要なくなるケースもあるでしょう。
口周りの癖は歯並びだけではなく、健康にも悪影響を及ぼすこともあります。口呼吸をしていると、常に口を開けているので、口の中が乾燥し、感染症にかかりやすくなったり、虫歯になるリスクが高まったりします。
MFTトレーニングを行うことで、そうしたリスクを軽減できる可能性があるのです。
MFTトレーニングの効果
MFTトレーニングは矯正装置を使用する治療と一緒に行う歯科医院が増えています。MFTトレーニングを行うと、以下のような効果が得られます。
口周りの筋肉が鍛えられる
MFTトレーニングでは、口周りの悪習慣を改善するために、特に筋肉の口周りにアプローチします。顔の筋肉のほとんどは口周りに集中しているため、口周りの筋肉が鍛えられると、フェイスラインがすっきりと見えることもあるでしょう。
不正咬合が改善する
成長過程のお子さまの場合、MFTトレーニングによって口周りの筋肉を鍛え、癖を改善することで、出っ歯や受け口などの不正咬合が治ることもあります。口周りの癖によって不正咬合になっている場合、MFTトレーニングを行うことは有効といえるでしょう。
矯正治療の効果を高める
矯正装置での治療と並行してMFTトレーニングを行うこともよくあります。それは、装置だけで治療をしても、不正咬合の原因となっている舌癖が治らないと矯正治療が進みにくいからです。MFTトレーニングを行うことで、スムーズに治療を進められるでしょう。
矯正治療後はリテーナー(保定装置)を装着して後戻りを防ぎますが、MFTトレーニングを行うことで後戻りが起こりにくくなります。
MFTトレーニングのやり方
ここでは、MFTトレーニングには、主に以下の5つがあります。
・スポットポジション
・ティップ
・ポッピング
・スラープ&スワロー
・ボタントレーニング
それぞれのやり方を、以下にご紹介します。
スポットポジション
スポットポジションとは、出っ歯などの原因になる舌の位置を正しい位置に改善するためのトレーニングです。このトレーニングを行うことで、口を閉じているときや、食べ物・飲み物を飲みこんだときなどの正しい舌の位置を覚えられます。
正しい舌の位置は、上顎の前歯の裏側の付け根あたりから5~10㎜程度の位置とされています。
まずはアイスの棒などのスティックを用意します。スティックで上顎の前歯の裏側の付け根を触り、その状態でゆっくりと5秒数えます。スティックを外したら、スティックで触れていた部分を舌の先で触り、同じようにゆっくりと5秒数えます。
ティップ
ティップとは、舌先の力をつけることを目的としたトレーニングです。
アイスの棒などのスティックを用意します。口の前にスティックを持ったら、舌でスティックを押します。スティックを3秒間舌で押し、その後、口を閉じて休みます。この動作を5~10回繰り返してください。
ポッピング
ポッピングとは、舌全体を持ち上げるトレーニングです。
上顎の前歯の裏側の付け根に舌の先をつけたまま、舌全体を使い、上顎を吸い上げます。この状態で口を開けて、ポンっと上顎をはじいて舌を離します。この動作を5~10回繰り返してください。
スラープ&スワロー
スラープ&スワローとは、嚥下の動作のトレーニングです。
上顎の前歯の裏側の付け根に舌の先をつけたまま、舌全体を使い、上顎を吸い上げます。上顎の犬歯のうしろにストローを置き、舌の裏にあてた状態で、軽く歯を噛み合わせます。口の横からスプレーで水を入れ、奥に水を集めたら奥歯を噛んだ状態で飲みこみます。
ボタントレーニング
ボタントレーニングとは、唇の周辺の筋肉を強化するトレーニングです。
大きめの紐を通したボタンを用意してください。ボタンを唇と歯の間で挟んだ状態で、ボタンが口から出ないように、紐を引っ張ります。これを30秒間3セット行います。
MFTトレーニングを行う際の注意点
MFTトレーニングは特別な道具は必要なく、基本的には小さな子どもでも行えます。
しかし、安全に行うためには、以下の点に注意してください。
担当の歯科医師の指導を受けて行う
MFTトレーニングは、必ず歯科医師の指導のもとで行ってください。MFTトレーニングは難しいものではないので、自己判断で行う方もいますが、正しい方法で行わないと、効果が見込めないだけではなく、危険なこともあります。
継続してトレーニングを行う
MFTトレーニングは、短期間で思うような結果が得られるわけではありません。継続的に行うことで効果を実感できるでしょう。そのため、習慣化して毎日行える仕組み作りが必要といえます。
例えば、寝る前や歯みがきのあとなど、ルーティンとして組み込み、忘れずに続けられるような工夫が必要です。小さなお子さまなら、シールのご褒美なども効果的です。
トレーニングの意義を当事者に説明する
小さなお子さまがトレーニングをする場合は、ほかの矯正治療同様、本人のモチベーションの維持や協力が欠かせません。保護者の方がトレーニングの意義を理解していても、お子さまが理解できていないと、お互いに大きなストレスになることもあるでしょう。
トレーニングの必要性をお子さまに対して担当の歯科医師からしっかり説明してもらってください。
不安なことがある場合は歯科医師に相談する
正しいトレーニングの方法がわからない場合や、歯並びについて心配なことがある場合は、担当の歯科医師に相談しましょう。自己判断せずに、歯科医師に相談しながら、トレーニングを進めるようにしてください。
まとめ
MFTトレーニングは、歯並びに悪影響を及ぼす口周りの癖や舌の位置などを改善するためのトレーニングです。大人の場合はその効果は限定的なものですが、子どもの場合はMFTトレーニングを行うだけで不正咬合が改善することもあります。
自宅で簡単に行えるのが大きなメリットで、それぞれの状態に合わせて適切なトレーニングを選び、正しい方法で実践することが大切です。MFTトレーニングに興味がある方は、歯科医師に相談してください。
MFTを検討されている方は、山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科だけでなく成人・小児の矯正治療や審美歯科にも力を入れています。ぜひ一度ホームページをご覧ください。ご予約・お問い合わせもお待ちしております。