こんにちは。山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」です。
虫歯の治療後に銀歯を入れれば、生涯虫歯にならないと考える方もいるかもしれません。
しかし、銀歯の下が虫歯になる可能性は高いです。10年後に銀歯が虫歯になる確率は40~60%ともいわれています。
本記事では、銀歯の下が虫歯にならないための方法についてくわしく解説します。銀歯がある方や銀歯を入れてから数年経過している方は、ぜひ本記事を参考に銀歯の下の虫歯を予防しましょう。
銀歯の下が虫歯になる原因
銀歯の下が虫歯になる原因は数多く考えられます。原因を知っておくことで、銀歯の下が虫歯にならないように対策できるかもしれません。
主な原因は、次の通りです。
銀歯の劣化
銀歯の下が虫歯になる原因として最も多いのが、銀歯の劣化です。銀歯と聞くと銀でできていると考える方が多いかもしれませんが、さまざまな金属が合わさって構成されています。銀歯の構成成分は金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後、そのほかとなっています。
これらの金属は熱に弱く、温冷刺激を受けることで膨張・収縮します。天然歯とは熱膨張率が異なるため、徐々に隙間ができて虫歯菌が入り込んで虫歯になるのです。
接着剤の質が高くない
銀歯を歯に接着させるときは、特殊な歯科用の接着剤を用います。
しかし、接着剤を用いても銀歯は天然歯としっかり接着されないといわれています。接着剤は時間の経過とともに溶ける性質があることも、虫歯の原因と言えるでしょう。
保険治療で使用できる素材は限られており、接着剤にも制限があります。接着力が高く天然歯と詰め物・被せ物をしっかり接着できるものは、使用できないのです。
熱による膨張・収縮が繰り返される上、そもそもしっかりと接着できていないことが、銀歯に隙間ができる要因として考えられるのです。
治療後のメンテナンス不足
銀歯を入れたあとに定期検診を受けずにいると、銀歯の下が虫歯になります。金属である銀歯は表面に傷がつきやすく、歯ブラシや食事などの刺激で傷がつきます。
傷がつくと、傷に細菌が侵入したりプラークが付着したりします。とくに、傷のなかに入ったプラークは日頃の歯磨きで落とすのは難しいでしょう。
この状態を放置すると細菌が増殖し、銀歯の下が虫歯になるのです。また、銀歯だけでなく、銀歯の周りの歯もしっかりとケアできていないと虫歯の原因になります。周囲の歯で繁殖した細菌が、銀歯の下に入り込んで虫歯になるのです。
歯周病や加齢
歯周病や加齢によって歯茎が退縮し、歯の根がむき出しになることがあります。銀歯で治療した歯も同様に、歯茎が退縮する可能性があります。
もともと歯茎に覆われていた歯根部には、エナメル質がありません。セメント質と呼ばれる骨と似た組織に覆われていますが、エナメル質のように硬くないので虫歯になりやすいです。
歯茎が退縮した状態では歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が深くなっていることが多く、歯垢や歯石が溜まりやすいです。溜まった汚れが原因で細菌が増殖すると、虫歯につながるでしょう。
銀歯の下が虫歯にならないための方法は?
銀歯の下に虫歯ができないように予防する方法もあります。ここからは、銀歯の下に虫歯を作らないためにできることを解説します。
銀歯がある方で、虫歯を予防したいと考えている方は参考にしてみてください。
丁寧な歯磨きを心がける
治療をおこなった歯は、健全な歯以上に丁寧なケアが必要といわれています。銀歯をいれたら、丁寧な歯磨きを心がけましょう。毎食後に歯を磨くことはもちろん、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスも活用して歯の間も念入りにお手入れしましょう。
とくに就寝中は唾液の分泌量が低下するため、虫歯菌が活性化しやすいといわれています。就寝前の歯磨きは必ずおこないましょう。
歯ブラシは、ブラシの先端が小さく、歯と歯茎の間や歯と銀歯のすき間にも届くものを選んでください。フッ素入りの歯磨き粉を使えば、虫歯の予防につながるでしょう。
定期的に歯科検診を受ける
毎日丁寧にブラッシングをしたとしても、こまかい汚れは落としきれない可能性があります。定期的に歯科検診を受け、歯科衛生士や歯科医師にクリーニングしてもらいましょう。
専門家によるクリーニングでは、日頃落としきれない汚れをしっかりと落としてもらえます。口内の状態を確認してくれるので、虫歯の早期発見にもつながるでしょう。
歯科検診の頻度は人によって異なりますが、2~3か月に一度が推奨されています。定期的に歯科検診を受けられるように、スケジュールを調整しましょう。
銀歯をセラミックに変える
銀歯に対して強いこだわりが無い方は、銀歯をセラミックに変えることで虫歯を予防できるでしょう。セラミックとは、陶器のような素材でできた詰め物・被せ物です。
陶器のように真っ白であることから、銀歯のように目立つこともなく審美的な側面でも人気があります。また、セラミックは虫歯になりにくい素材といわれている点も人気の理由です。
セラミックは表面がつるつるとした素材であるため、プラークが付きにくいのです。温度変化や唾液による影響を受けにくいので、虫歯のリスクを下げられるでしょう。
銀歯のように温度によって膨張・収縮を繰り返さないため、歯と詰め物の間に隙間ができにくく虫歯になりにくいと考えられています。
ただし、セラミックは保険適用外の治療であるため、治療にかかる費用は全額自己負担となります。また、生涯使える詰め物・被せ物ではありません。銀歯よりも寿命は長いですが、10〜15年程度が平均寿命です。
十数年後には再治療が必要となるケースもあり、金銭的な負担がかかる可能性があることはデメリットでしょう。
銀歯の下が虫歯になったときの治療法
しっかりと予防をしていても、銀歯の下が虫歯になる可能性はあります。銀歯の下が虫歯になった場合には、どのような治療がおこなわれるのでしょうか。
詰め物・被せ物の交換
銀歯の下にできた虫歯が早期に見つかった場合は、虫歯を取り除いて詰め物・被せ物を新しく交換するケースが多いです。
まずは銀歯を外し、銀歯の下の虫歯を取り除きます。そのあと、再び型を取って新しい詰め物・被せ物をいれて治療は終了です。
次の詰め物・被せ物も銀歯にする場合、型を取ってから1週間程度で新しい銀歯を入れられるでしょう。セラミックなど別の素材に変更する場合は、2〜3週間ほどかかることもあります。
ご自身の希望を叶えられる詰め物・被せ物を選択しましょう。
根管治療
銀歯の下にできる虫歯は、治療したことがない天然歯と比べると虫歯ができているかどうかがわかりにくいです。
金属が歯を覆っているので、穴が開いていたり歯が変色していたりといったことが分かりにくいためです。銀歯の下にできた虫歯はレントゲンに映りにくいことも、見逃しやすい原因でしょう。レントゲンのX線は金属を透過しないため、銀歯の直下にある虫歯は見えないのです。
また、虫歯が進行していた場合は、神経をとっていることがあります。銀歯の下で虫歯が進行していても痛みを感じず、膿が溜まるまで気づかない可能性があるでしょう。
上記の要因から、銀歯の下にある虫歯は進行しやすいといわれています。銀歯の下で虫歯が進行した場合は根管治療が必要です。一度根管治療を行っていても、何らかの原因で再び根管内が細菌に感染して炎症を起こしている場合は再び根管治療を行います。
抜歯
虫歯が進行し、歯を残せなくなった場合は残念ながら抜歯を選択します。できる限り歯を残せるように治療を進めますが、残せないこともあるのです。
抜歯をした場合は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどで失った歯を補います。
まとめ
銀歯の下は虫歯ができやすいため、予防する必要があります。口の中のケアをしっかりとしたり、歯科検診を受けたりといった基本的なケアを継続して行いましょう。
銀歯にこだわりがないのであれば、虫歯になりにくいセラミックなどの素材に詰め物・被せ物を変えるだけでも虫歯予防に効果があります。銀歯の下にできた虫歯は、進行していても気づきにくいことが多く、進行すれば抜歯を余儀なくされるケースもあります。
自分の歯を守るためにも、銀歯の入っている歯はしっかりとケアをしていきましょう。
虫歯治療を検討されている方は、山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」にお気軽にご相談ください。