こんにちは。山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」です。
大事なお子さまの虫歯予防として、歯磨きやフッ素塗布以外に「シーラント」という処置があります。
シーラントとは、虫歯になりやすい歯の溝をあらかじめプラスチックで保護する処置のことです。シーラントを施すことで、磨きにくい歯の溝を平らにできるため、歯磨きがしやすくなり虫歯予防の効果が期待できます。
今回は、シーラントの概要やメリット、治療の流れについて解説します。シーラントは歯を削る必要のない処置なので、歯科が苦手なお子さまでも受けられるでしょう。
こどもの虫歯についてお悩みの保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
虫歯のメカニズム
虫歯になる主な原因は、磨き残しに潜む虫歯菌といわれています。虫歯菌は、食べ物に含まれる糖質をエネルギーにして繁殖しますが、繁殖する際に歯を溶かす酸を出します。
酸によって歯の表面が溶かされ、虫歯になるのです。特に、乳歯や生えたばかりの永久歯は脆いため、大人の歯に比べると虫歯になりやすいです。
こどもの虫歯のなりやすさは、お菓子の食べ過ぎや、時間を決めずにだらだら食べるなど、生活習慣にも左右されます。お口の中に糖がある時間が長い場合、口の中が酸性になりやすいため虫歯になりやすいのです。
こどもの虫歯は大人よりも進行しやすいため、保護者の方が気付いたときには歯に大きな穴が空いていることも少なくありません。
乳歯の虫歯の場合、いつか抜けるからと放置する保護者の方もおられますが、乳歯の虫歯が永久歯に悪影響を及ぼす可能性があるため注意してください。こどもの歯を守るためには、日頃から虫歯を予防することが大切です。
シーラントとは?
シーラントとは、虫歯になりやすい歯の溝をあらかじめプラスチックで保護する処置のことです。乳歯や生えたばかりの永久歯は大人の歯と比べると脆いため、虫歯になりやすいといわれています。
特に、奥歯の溝には歯ブラシが届きにくいため、最も虫歯になりやすい部位といえます。シーラントによってあらかじめ歯の溝を平らにすることで、こどもの歯を虫歯から守れるでしょう。
フッ素が含まれているシーラントもあるため、こどもの歯を強くする効果も期待できます。乳歯や永久歯はすべて同時に生えるわけではないので、適した施術の時期は異なります。
・乳臼歯:4〜5歳頃
・永久歯(6歳臼歯):5〜6歳頃
・永久歯の前歯:7〜8歳頃
・永久歯の奥歯:8〜12歳頃
乳臼歯が生え始めるのは4〜5歳頃、最初に生える永久歯は5〜6歳頃です。シーラントを検討している場合は、まずは4〜6歳頃に歯科医院を受診するとよいでしょう。
前から6番目の歯(6歳臼歯)が生えたあと、永久歯の前歯、奥歯と順に生えてきます。小さい頃から定期的に歯科に通い、永久歯に生え変わるタイミングでシーラントをするとよいでしょう。
ただし、シーラントは歯の溝を埋める処置なので、歯と歯の間や歯と歯茎の間などには処置できません。奥歯の溝や、前歯の裏の溝を埋める処置だと理解しておきましょう。
シーラントのメリット・デメリット
シーラントのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
シーラントのメリットは、以下のとおりです。
こどもの歯を虫歯から守れる
虫歯になりやすい歯の溝をシーラントで平らにすることで、磨き残しを防ぎ、虫歯になるリスクを下げられます。お子さま自身の歯磨きだけでなく、保護者の方の仕上げ磨きもしやすくなるでしょう。
シーラントは、歯磨きが苦手で虫歯になりやすいお子さまに適しています。
歯を削ることを避けられる
お子さまの虫歯でも、虫歯になれば大人の治療と同じように歯を削らなくてはいけません。シーラントで虫歯を予防することで、歯を削る処置を避けられるでしょう。
シーラントは、歯を削らなくてもできる処置です。小さなお子さまでも受けていただけることが大きなメリットといえます。
歯科が苦手なお子さまでも、何回か練習すれば受けられるようになるでしょう。
デメリット
シーラントのデメリットは、以下のとおりです。
取れることがある
シーラントは丈夫な素材ですが、硬いものや粘着性のあるものを食べると、欠ける・取れることがあります。欠けたシーラントを放置すると、シーラントと歯のすき間から虫歯になることがあります。
3〜6か月に一度は歯科検診を受けてお口の中を確認し、必要であれば再度シーラントをしてもらいましょう。
虫歯を完全に予防できるわけではない
シーラントで歯の溝を平らにしても、歯の溝にまったく汚れが溜まらないわけではありません。きちんとケアしていなければ、虫歯になることがあります。
シーラントは虫歯予防に効果がありますが、シーラントをしていれば絶対に虫歯にならないというわけではありません。毎日しっかりと歯磨きでケアすることが重要です。
シーラント処置の流れ
一般的なシーラントの処置の流れは、以下のとおりです。
①歯の溝をきれいにする
②乾燥させる
③薬剤で下処理をする
④薬剤を洗い流す
⑤シーラントを詰める
⑥シーラントを固める
⑦噛み合わせを確認する
歯が汚れている状態でシーラントをすると虫歯になるので、まずは処置する歯の溝を洗浄します。きれいにしたあと、歯を乾燥させて下処理を行います。
専用の薬剤を塗布し、一定時間置いてから洗い流すのが一般的です。下処理が終わったら再度乾燥させ、シーラントを流し込みます。シーラントを固めたら、噛み合わせを確認して治療は終わりです。
水で洗う・乾かすなどの処置は必要ですが、歯を削る必要はありません。歯科治療のなかでも比較的簡単な内容なので、治療に恐怖心があるお子さまでも受けやすいでしょう。
シーラントの費用
シーラントは、初期虫歯があると認められた6〜12歳のお子さまの場合、保険が適用される処置です。費用は、3割負担で1本あたり400~600円程度でしょう。
歯を削る大がかりな処置が必要ないので、治療時間は1本あたり10〜15分、長くても30分程度です。
ただし、一度に複数の歯にシーラントを施す場合や、治療が苦手で時間がかかる場合などは、30分以上かかることもあります。
シーラントは虫歯予防の処置なので、一度虫歯になったことのある歯には対応できない場合があるため注意してください。シーラントの費用や治療内容について詳しく知りたい場合は、歯科医院に相談しましょう。
シーラント処置後の注意点
シーラント処置後の注意点は、以下のとおりです。
ケアを怠らない
シーラントは、歯の溝を平らにすることで虫歯を予防する処置です。
しかし、歯磨きが不十分な場合や、食事の時間を決めずにだらだら食べている場合、生活習慣が乱れている場合は、シーラントをしていても虫歯になることがあります。また、シーラントは歯の溝には有効ですが、虫歯になりやすい歯と歯の間や歯と歯茎の境目には対応できません。
そのため、毎日歯磨きを丁寧に行う、規則正しい食生活を送るなど、日頃から虫歯予防を心がけることが大切です。特に、乳歯と永久歯が混在する時期は、歯磨きがしづらいため大人よりも虫歯になるリスクが高いといえます。
永久歯が生え揃うまでの間は、お子さまが歯を磨いたあとは仕上げ磨きをしてあげてください。仕上げ磨きをすることで、磨き残しをなくせるうえ、シーラントの不具合にもすぐに気づけます。
定期的に歯科検診を受ける
シーラントは、食べ物や噛み方によって欠ける・取れることがあります。定期的に歯科検診を受けて、お口の中に問題がないかチェックしてもらいましょう。
定期検診では、クリーニングや歯磨き指導を行ってもらえます。虫歯や歯周病の有無、噛み合わせに問題がないかも確認してもらえるでしょう。シーラントをしている・していないに関わらず、定期検診を受けることが大切です。
また、シーラントは基本的に乳歯や永久歯の生え変わりの時期に行うため、比較的低年齢で処置を行います。歯科治療に苦手意識があれば、診察台でお口を大きく開けることから練習が必要になるかもしれません。
そのため、何も問題がなくても3〜4歳頃から定期的に歯科に通うとよいでしょう。歯科に慣れていれば、虫歯治療などが必要になったときもスムーズに進められる可能性が高いです。
まとめ
シーラントとは、虫歯になりやすい歯の溝をあらかじめプラスチックで保護する処置のことです。シーラントで歯の溝を平らにすることで、歯磨きがしやすくなり、虫歯予防に効果があります。
フッ素が含まれているシーラントもあるので、大人に比べて脆いこどもの歯を強くする効果も期待できます。
しかし、シーラントをしたからといって、虫歯を完全に防げるわけではありません。シーラントの有無に関わらず、毎日歯磨きをしっかり行い、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。
虫歯予防にシーラントを検討されている方は、山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」にお気軽にご相談ください。