こんにちは。山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」です。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、専用の医療機器を用いて歯のクリーニングを行うことです。セルフケアでは落とせない歯石やプラークを落としたあとに歯を研磨し、歯周病をはじめとした口腔内の病気を防ぎます。
歯周病を防ぐには、ご自宅でのセルフケアだけでは不十分なため、歯科医院で行われるPMTCを受けることが重要です。
今回は、PMTCの概要や効果、施術内容などをご紹介します。PMTCでは何をするのか、痛みはあるのかなども解説しますので、PMTCに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
歯科で行うPMTCとは?
歯科で行うPMTCとは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いて歯石除去とクリーニングのことです。歯周ポケットや歯並びが悪い部分、奥歯、矯正装置・ブリッジを装着している部分などは特にプラークが蓄積しやすく、ご自身で取り除くのは困難でしょう。
歯科医院では、スケーラーとよばれる器具を用いて歯石を除去します。歯の表面についたプラークは、専用の器具とフッ化物入り研磨剤を用いて除去します。歯の表面にフッ素を塗布することで、歯周病を予防できるでしょう。
PMTCは保険が適用される?
通常、PMTCは自由診療です。自由診療の場合、歯科医院によって費用が異なります。
一部例外として、厚生労働省が認可した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」でPMTCを受ける場合は、保険が適用されます。
保険が適用された場合、PMTCにかかる費用は3割負担で1回3,000円程度です。一定の基準を満たした歯科医院で受けた場合のみ保険が適用されるので、費用を安く抑えたい方は確認するとよいでしょう。
保険が適用されない場合の費用の相場は、8,000〜15,000円程度です。歯科医院によって費用が異なるので、目安として参考にしてください。
PMTCにはどのような効果がある?
PMTCの効果は、以下のとおりです。
・糖尿病の症状を改善する
・咀嚼・嚥下機能の低下を阻止する
・早産などを予防する
口腔内の健康は、全身の健康と密接に結びついています。歯周病の細菌が体内を巡ると、さまざまな悪い症状を引き起こす可能性があるのです。
それぞれ詳しく確認しましょう。
糖尿病の症状を改善する
歯周病の合併症として、糖尿病が挙げられます。
中程度の歯周病がある場合、口腔内すべての歯周ポケットの表面積を合わせると、手のひらサイズになるといわれています。歯周ポケットから発生する細菌が体内を巡ると、インスリンを効きにくくするなどの悪影響を及ぼすのです。
歯周病の治療を行うことで糖尿病の症状が落ち着くケースもあります。歯肉の炎症を改善すると、血糖値によい影響を及ぼすのです。
ご自宅でのセルフケアだけで歯周病を改善することは難しいでしょう。歯科医院でのPMTCなども合わせて行い、改善することが重要です。
咀嚼・嚥下機能の低下を阻止する
歯周病や虫歯で歯を失うと、食べ物を噛む機能が低下します。
厚生労働省のデータによると、歯周病や虫歯で歯を失う人は約7割に達しており、40代から徐々に増加し、65〜69歳にピークを迎えます。歯周病菌を誤嚥すると肺に侵入し、誤嚥性肺炎の原因になることもあるでしょう。
PMTCで虫歯や歯周病を予防することは、咀嚼・嚥下機能の低下を阻止し、誤嚥性肺炎などの疾患も防げるのです。全身の健康にも影響を及ぼすため、口腔内を清潔に保つことは非常に重要です。
参照元:厚生労働省「歯の喪失の原因」
早産などを予防する
妊婦が歯周病や虫歯になると、口腔内から分泌される炎症物質が子宮の収縮を促すことがわかっています。予定より早く出産する早産や、出生時の体重が2,500g未満になる低出生体重児などのリスクがあります。
妊娠中は女性ホルモンが活発になるので歯周病になりやすいです。PMTCを受けて、口腔内を清潔に保つことが重要といえるでしょう。
PMTCでは何をする?
PMTCは、セルフケアでは取り除けないプラークや歯石を除去することを目的としています。歯科医院による処置はもちろん、自宅でのケア方法の指導も行っています。磨き残しがある部分などを教えてもらえるため、自宅でのセルフケアの質を高めることも可能です。
PMTCの手順は、以下のとおりです。
1.染め出し
2.スケーラーを用いた汚れの除去
3.PMTC
4.仕上げ磨き・フッ素塗布
まずは、歯周病やプラークのある部分を専用の薬剤で染色します。染め具合を確認しながら、歯科医師や歯科衛生士が指導を行います。歯ブラシやフロスなどの使い方、正しい磨き方など、ブラッシング指導を行うのが一般的です。
染色されたプラークや磨き残しが多い場合は、スケーラーを用いて汚れを取り除きます。
おおまかな汚れをスケーラーで除去したら、専用の器具を用いて歯科医師もしくは歯科衛生士がPMTCを行います。プラークを除去し、歯周ポケット内部のバイオフィルムも取り除きます。
歯周ポケット内部に溜まった汚れは、セルフケアでは取り除けません。歯科医院で専用の器具を用いて清掃します。清掃に用いる器具には種類があるので、適したものを選択して対応します。口腔内の状況に応じて、ペーストを用いて清掃を行うこともあるでしょう。
最後に、仕上げとしてフッ素を塗布します。
参照元:厚生労働省「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」
PMTCは痛みがある?
PMTCは基本的に痛みを感じませんが、虫歯がある人や歯周病が進行している人は、器具が接触することで痛みを感じることがあります。
PMTCを定期的に行うと口腔内の状況が改善されるので、痛みも少なくなるでしょう。継続してメンテナンスを行うことが重要です。
PMTCはどれくらいの頻度で受けると効果的?
PMTCは、3か月〜半年の頻度で受けることが推奨されています。
口腔内の状況には個人差があります。喫煙習慣の有無や歯並び・口腔内の状態などを考慮して、歯科医師が適した頻度を判断するのが一般的です。
患者さまによって最適な頻度は異なります。気になる方は歯科医師に相談しましょう。
まとめ
PMTCとは、歯科医院で行われる専用の器具を用いたクリーニングのことです。PMTCを行うメリットは、磨き残しなどを客観的に把握してセルフケアの質を高められる、生活習慣病などのリスクを回避できる、嚥下機能の低下を防げることなどが挙げられます。
ご自身ではしっかりと歯磨きをしているつもりでも、磨き残しは発生します。定期的にPMTCを受けることで、口腔内の状況を客観的に把握できるでしょう。
糖尿病がある人が歯科治療を受けることで、数値が改善されたケースも報告されています。生活習慣病の治療と口腔ケア・PMTCを並行して行うとよいでしょう。口腔内を清潔に保つことは、全身の健康にも影響を及ぼします。ご自宅でのセルフケアとPMTCで口腔内を清潔に保ち、健康に過ごしましょう。
PMTCのために受診した場合、ブラッシング指導も行われるのが一般的です。歯並びや口腔内の状況を考慮して、適した磨き方やフロスなどの使い方を指導してもらえますので、セルフケアの質を高められるでしょう。
虫歯・歯周病が心配な方や、セルフケアで汚れをしっかりと除去できているか不安な方は、歯科医院で行われるPMTCを検討してはいかがでしょうか。
PMTCを検討されている方は、山口県長門市にある歯医者「田中歯科医院」にお気軽にご相談ください。