加齢とともに高齢者に起きがちな変化として、「フレイル」という言葉が、近ごろよく使われるようになりました。フレイルとは、筋力が落ち、精神的な活力が落ちて虚弱になることをいいます。体重の減少、疲れ易い、歩行が遅くなった、以前は楽しみにしていた、趣味や外出が億劫になるのが典型です。
わが国は、世界でも指折りの長寿国です。ところが平均寿命と健康寿命に約10年の開きがあり、この差をいかに縮めるが重要です。
こうした中、高齢者の寝たきり予防に、歯科医療が重要な役割を果たすことがわかってきました。
例えば、栄養をバランスよく摂るには、自分の歯をできるだけ残し、あるいは
入れ歯を使って噛めるようにすることがとても大事です。よく噛めると認知症になる割合が少なくなり、寝たきりの原因のひとつでもある転倒のリスクを軽減します。
「歳を取っても歯がある人は元気」という昔からの言い伝え、聞いたことありますよね。
広島県、呉市で1000名以上の高齢者を対象とした追跡のデータ結果からも、歯のある人は長生きできることが証明されています。
長門市では、サロンなどで、保健師さんが、お口の機能をお聴きし、必要であれば歯科医院への受診をお勧めし、健康寿命の延伸を計る事業が開始されました。フレイルを予防し、健康寿命を延ばすそのための重要な手段が、歯を残すこと、そして必要な治療を放置しないことです。
健康な時はたいして影響がなくても、体力が落ちかけてくると大きく影響してくる、それが歯であり、歯科治療です。元気なうちから、かかりつけの歯科医院を持ち、お口の健康を維持していきましょう。